自己破産をすれば闇金からの取立てがなくなるのか?
自己破産をすれば闇金からの取立てがなくなるのか?
ここには2つの解釈があります。
- 自己破産をすると闇金からの取立てが無くなるの?
- 闇金から借りていても自己破産はできるの?
一つ一つ解説をしていく前に、まずは自己破産手続きの流れを確認しましょう!
自己破産の手続きの流れ
破産免責の申し立て | 管轄の地方裁判所に自己破産の申し立てを行います。 |
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破産審尋 | 申し立てをしてから1ヶ月から長くて3ヶ月ほどで裁判官との面談があります。 |
破産決定 |
破産審尋のあと1週間から1ヶ月ほどで破産決定が下ります。 |
免責審尋 | 破産決定から1ヶ月ほどで裁判官との面接があります。 |
免責決定 | 免責決定が降りるとすべての債務がなくなります。 |
自己破産の申し立てを行ってから免責決定までは通常半年ほどかかります。
自己破産をすると闇金からの取立てが無くなるの?
闇金は違法業者です。貸金業者として登録しているものではないために借り入れをしていたとしても返済の義務はありません。しかし問題になるのは返済の義務があるかどうかではなく、取立てをやめさせられるかどうかでしょう。
闇金は法律にのっとった運営をしているわけではありません。違法業者だからこその取立てをしています。そもそも債務の取立てには貸金業法で決められたさまざまな取り決めがあります。
- 取立ての電話、FAX、訪問は午前8時から午後20時までの間
- 勤務先や自宅以外の場所に電話、FAX、訪問の禁止
- 訪問に対し退去するように意思表示をされた場合には速やかに退去
- 張り紙やタテ看板などで債務の事実を債務者以外に明らかにすることの禁止
- 債務者以外からの借り入れなどの方法を使って返済をするように強要することの禁止
- 弁護士などから債務整理などの通知を受けた後の返済請求の禁止
貸金業法によって禁止されている取立ての方法は実に厳しいものです。そもそも闇金がこれらの禁止事項を守っているのかといえばそうではないでしょう。自己破産をしたからといって取立てがなくなることはありません。
弁護士に相談をすること!
自己破産をするかどうかとは別問題です。闇金を利用していることに気がついたらすぐに弁護士に相談をしましょう。個人が闇金と対峙するのは現実的な話ではありません。
弁護士から闇金に「弁護士が介入したこと」を知らせる受任通知を送付してもらう必要があります。闇金業者によっては受任通知だけで取立てをやめる場合もあります。闇金に対して法的な観点から圧力をかけられるのは一個人ではなく弁護士です。
闇金から借りていても自己破産はできるの?
自己破産をするためには「免責を許可」されなくてはなりません。許可されなくてはならないということは、許可されない場合もあるということ。その許可されない場合(免責不許可事由)にはどのようなものがあるのでしょうか。
【破産法 第252条第1項第1号】債権者に損害を与えるという意図を持って、本来であれば債権者に配当されるはずだった財産(保険)を隠す・壊す・売却するなどをすると免責不許可事由になります。債権者を害する目的で,破産財団に属し,又は属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
【破産法 第252条第1項第2号】破産手続きの開始が遅れることを考えて、金利の高い借金や、クレジットカードの換金などをすると免責不許可自由になります。破産手続の開始を遅延させる目的で,著しく不利益な条件で債務を負担し,又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
【破産法 第252条第1項第3号】特定の債権者にだけ利益を与えることを目的として特定の債権者だけに支払いをすると免責不許可事由になります。特定の債権者に対する債務について,当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で,担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって,債務者の義務に属せず,又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
【破産法 第252条第1項第4号】無駄遣い、ギャンブルなどで借金をした場合は免責不許可事由になります。浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
他にもさまざまな免責不許可事由があります。
闇金を利用していたら自己破産の審査に通らない?
問題として考えたいのは「ギャンブルなどによる借金なのか」ということ。そして「返済義務が無いと知っていて闇金から借りたのか」ということ。
闇金からの借り入れは返済の義務はありません。つまり返済をしなくてもよいということ。
しかし、闇金からの「借り逃げ・借りパク」を故意に行っていたのでは免責がおりません。
闇金を利用していた、利用している、それが自己破産審査に影響をするかどうかは大きな問題です。またなぜ借りることになったのかも問われます。この事例でも弁護士に相談をして免責の対策を講じましょう。