なぜ他人名義の携帯電話が必要なのか?
まず、はじめに。携帯電話、スマートフォン、タブレット等の端末を譲渡することは法律違反です。契約者が他人に譲渡することは禁止されている行為です。
「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」携帯電話不正利用防止法 - 総務省
これが犯罪への加担となる携帯電話の不正利用を防止することを目的として作られた法律です。簡単にいえば、携帯電話の契約時の本人確認義務、無断譲渡の禁止を定めています。
携帯電話不正利用防止法の概要
- 携帯音声通信事業者(携帯電話事業者及びPHS事業者)に対し、携帯電話等(携帯電話及びPHS)の契約締結時及び譲渡時に、契約者の本人確認を義務付けること
- 携帯電話の貸与業者に対しても、運転免許証等の身分証を確認することによる契約者の本人確認を義務付けること
- SIMカードについても、通話可能端末設備と同等の規律を課すものとすること
- 契約者が、本人確認の際に虚偽の氏名等を申告することを処罰の対象とすること携帯音声通信事業者に無断で、業として有償で通話可能な携帯電話等を譲渡することを処罰の対象とすること
- 自己が契約者となっていない通話可能な携帯電話等を譲り渡し又は譲り受けることを処罰の対象とすること
- 相手方の氏名等を確認せずに、業として有償で通話可能な携帯電話等を貸与することを処罰の対象とすること
- 通話可能な携帯電話等が一定の犯罪に利用された場合等において、警察署長からの求めを受けて、携帯音声通信事業者が契約者の確認を行うことができること
- 携帯音声通信事業者は、契約者が本人確認に応じない場合等には役務の提供を拒むことができること
- 国家公安委員会は、携帯電話事業者に対する情報の提供や、振り込め詐欺対策に対する国民の理解を得るために必要な措置を講ずること
契約者の本人確認を行い、契約者本人が利用する携帯電話であることも定められています。
無断譲渡を禁止するとは?
契約者が他人、もしくは業者に無断で譲渡することを禁止しています。その理由は、「犯罪に利用されるため」といえばおわかりでしょう。
振り込め詐欺や架空請求など電話を使った詐欺は後を絶ちません。詐欺が行われるときにその携帯電話の契約者が調べられます。犯罪を犯すものが自分名義での携帯電話を使うことはありません。必ず不正入手した他人名義の携帯電話を使用します。
転売される自分名義の携帯電話
犯罪に利用するために他人名義の携帯電話は高額で転売されています。そのため闇金業者や犯罪者には非常に高いニーズがあります。
多額の借金があり、返済に困窮している…
総量規制に達してしまった場合、新たに消費者金融から借り入れをすることはできません。もちろん、そのような状況では銀行カードローンも利用はできません。
それでもお金が必要な場合、インターネットを検索するだけで本来であれば危険な、しかし困窮している方にしてみれば希望の光とも思える言葉が出てきます。
ブラックok
今、闇金業者も返せる見込みのない客に無理に貸すことは多くはありません。しかし新たな手段として「返す見込みのない申込者に引きかえ融資」を持ちかけています。
それが携帯電話契約と融資の交換です。
携帯電話契約と、その携帯電話の本体を郵送することを条件に融資を行うことを約束します。
ここで一つ疑問が生じるでしょう!
「手渡しではない」ということです。
携帯電話の契約は指示通りに行うことになりますが、携帯電話本体は郵送で送ります。
果たして闇金から融資はあるのでしょうか?
融資のない犯罪加担
実は闇金、犯罪者に携帯電話を郵送しても融資が行われることはほとんどありません。携帯電話を他人に譲渡することが法律で禁止されているため違法行為であることは明らかです。
そのため契約者は泣き寝入り以外の方法を見つけられないという現状があります。ここで、不正入手した携帯電話を使用した振り込め詐欺等の犯罪以前に行われる「携帯電話買取詐欺」が行われることになります。
使用目的不明の携帯電話を契約し、他人に譲渡する。
これは法律に違反しています。
警察に相談をしても「携帯電話を販売店から騙し取った行為」とされ、被害者のつもりが犯罪者になってしまいます。
携帯電話と引きかえのお金
闇金だけの問題ではありません。近年、インターネット上の掲示板、さらに闇サイト等でも携帯電話契約でお金を受け取れる方法が盛んにあげられています。
例えばこのような宣伝文句です。
- 携帯電話を契約するバイトです
- 現金を即日渡します
- 請求書が届いても支払いの必要はありません
- 契約した携帯電話は転売して現金にします
つまり、携帯電話の契約をして携帯電話本体を渡し、その支払いはしないという行為です。携帯電話本体は転売するため現金としてお金を受け取ることができますが、一方で支払いの意思がないため「携帯電話を騙し取った」ことになります。
これは警視庁でも警告を出している犯罪です。「携帯電話販売店に対する詐欺罪」になります。
知らなかったでは済まされません。即現金という言葉に踊らされて犯罪に加担することのないようにしなくてはなりません。